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HOME >> 【 コ  ラ  ム  な ど】 >> 96 TSUNAMI―現場から日本へのことづけ 【にしゃんた こらむ】

96 TSUNAMI―現場から日本へのことづけ 【にしゃんた こらむ】


もうずいぶん時間が経ってしまったけれど、例の津波の件について。
あの日、「スリランカ、津波で大変みたいやで!」という友人からの電話で僕はそのことを知りました。半分疑いながらも、テレビをつけてみると、映像の一部は確かにスリランカのもの。急いでスリランカの自宅に電話をかけた。
「津波大丈夫?」
「私たちは山のほうやから大丈夫や」
実家が内陸のキャンディーだったので被害はなさそう。久しぶりに息子から電話があったことを喜んでいるようにも思えた。とりあえず、一安心。しかしそれからが大変。家の電話に、携帯電話に、パソコンに、津波を心配して下さった方々からの問い合わせが殺到する。その対応に追われました。
「何かするんやったら、声かけてや。協力するさかい」
ありがたいお言葉をたくさんちょうだいしましたわ。
まわりで一斉に募金活動が始まり、僕もお呼びがかかって、募金箱を持たされました。集まるお金がどのように使われるかもわからんまま、よろしくお願いします」と頭を下げた。ときには、隣で別の団体が募金活動をしていることも。通りがかりの方々も、どの団体に募金したらええんか、ずいぶん迷ってましたわ。僕はというと、日本人離れしている外見も手伝って、たくさんの人がお金を入れてくださった。
でもね、心のなかのどこかで、募金を頂くことへの抵抗感を感じていました。

ようやくスリランカに帰省できたのは、津波発生後40日が経ってから。到着するなり耳に入った情報で、驚きました。コロンボでバブルが発生。膨大な海外からの資金でルピーのレートがあがっているらしい。
支援活動が上手くいってるんか心配で、コロンボを出発。海岸に沿って、南に車を走らせました。このあたりはゴールデンビーチと言われていて、めっちゃ美しいんです。
海岸に立地する観光客相手のリゾートホテルが受けた打撃は大きい。でも、あらゆる意味でいちばん被害を受けたのは、漁師なんです。彼らのほとんどが、海岸線にバラック小屋を建てて住んでいた。家は流され、船は破損。親戚には大勢の犠牲者。そんな彼らに追い討ちをかけてんのが、スリランカ人の魚離れなんです。魚が津波の犠牲者の遺体を食べているという噂が立ち、気持ち悪がられてたんです。
道端には政府からの配給内容を記したポスターが張り出されていました。遺族には死亡者ひとりに付き15,000ルピー。生活を始めるために5,000ルピー。台所用品を買うために2,500ルピー。ひとり当たりの食事代として375ルピー。合わせて、テントや衣類の支援内容も書いてあった。配給場がたくさんの人で賑わっていた一方で、配給対象として認められなかったと嘆いている人もいました。支援を狙った詐欺も起きていて、政府も悩んでいるようやった。
家の復旧に取り掛かっているスリランカ人に混じって、外国人の集団も見受けられました。暑いなか上半身裸で作業に励んでいた。笑い声が絶えることもない。会社から休みをもらって支援をしているという青年に話を聞いたら、「惨事にも関わらず、スリランカの人たちから元気をもらった」。ボランティアは、してあげるだけではなくて、たくさんものが得られるということでした。

1週間、被災地を1800kmも車でまわった。悲しかったのは、いちばん会いたかった「日本」に会えなかったことです。スリランカの新聞で、日本の支援のことが報道されたのは1回だけ。外務大臣が金銭的な支援を申し出たという記事でした。せっかく多額の援助金をもらっても、被災者たちは日本の温もりを感じていない。日本は支援の仕方が下手ですね。
何かがあると、すぐに募金を集めようという発想をすることが、日本人の悪いくせですわ。それにせっかく集めたお金も、大使館に渡すだけ。それらは結局、日本政府が出した80億円にプラスされるだけなんです。これでは、バブルを起こしたり、詐欺を起こしたり、横流しされるだけ。本当の意味での支援にならない。
「国際交流」はもう古い。民際交流が求められています。ひとりひとりが自己責任においてお金を集め、現地に向かって一緒に汗を流すことが必要なんです。日本人が持っているぬくもりを伝えようとすることが、本当の支援だと思います。

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